骨隆起切除手術の傷もすっかり治り
いよいよ歯を動かす準備にかかります。
長年かけてすり減った歯に
まず「仮歯」を被せて高さを出してから、
上下で望ましい噛み合わせに近づくよう
歯を動かしていく流れです。
今の歯の状態:どのくらいすり減っているのか
以前の記事にも書いたように、歯の高さは
顔の輪郭や見た目にも影響します。
歯が短くなると顎が奥に入り
顔全体が縮んだ印象になってしまいます。
では現状を改めてご紹介。
こちらは、骨隆起切除後の状態を示す
石膏模型です。一本一本の歯を見てみると
ほぼ全ての歯が短く小さくなっていますね…。
(奥歯のほうが特に…?)
上顎の石膏模型
模型を見ると、面白いくらいに歯が減って
噛み合わせ面が真っ平でツルツルでした。
下顎の石膏模型
あまりに歯が短くなり過ぎてて、このままだと
望ましい噛み合わせにするのは難しい。
上下合わせた現況の噛み合わせ模型
奥歯付近の減り方がすごい。縦に短い。
角度もすごいし、
これだと顎関節が奥に押し込まれるのも
わかる気がする…。
こう見ると、実は顔そのものも
奥歯一本ぶんくらい
縦に短くなっていたってことですね。
要は、入れ歯を外したきんさん ぎんさんみたいな
感じになってるってこと。まだ50代なのに。
そして、これだけ摩耗していると
ものを食べる時に「噛みきれない」し
「すり潰す」「押しつぶす」しかできていないと
模型を見て、改めて納得します。
歯本来の機能が損なわれているってことか。
咀嚼機能、そして顔の見た目にも
だいぶ影響が出ていたと思われます。
徐々に進んでいたので
自分ではなかなか気づかなかったけれど。
仮歯をつけて、人並みの歯の長さになりました!
この日、歯をつくってくださるのはTS先生。
これまでクリニックで何回かお目にかかり
お話させていただくなかで、
私が話す様子や表情等をみて
どんな歯にしたらよいか研究を重ね
今日の仮歯を造ってくださいました。
現況の噛み合わせ模型と比べると
しっかりと歯の長さ(高さ?)があって
見事に人間らしい歯の形になっています!
びっくり!
一体この形をどうやって創り出されたのか…
私には到底できませんし
“彫刻家”の仕事を見ているような気さえします。
J先生に、最初にこの模型を見せていただいた時
今の自分の歯とは全く違う形だったので
「歯ってこんなに長いんですか?」と
思わず聞いてしまったほどでした。
この後、歯の長さと歯根の状態もチェックします
ちなみに、歯がすり減ると
歯が上下で噛み合おうと背伸び?して
無理に表に出てきている場合もあるそう。
(そうなると根も浅い)
そういう場合は、長めの仮歯をつけることで
出過ぎてしまった歯を押し戻し
本来の深さに徐々に収めていくという
手法があったりと、噛み合わせ治療には
様々な手法があるとか。すごいなあ…
私の歯の根が
それぞれどんな状態になっているかは
今後改めて検査をしつつ
最終的にしっかり安定して噛める口を
目指していきます。
歯の色をどうする? 元の歯や肌色とのバランスも。
まず、仮歯の装着をする前に
かつて虫歯の治療で充填した詰め物を
何ヶ所かとりました。(全部ではなかったです)
その後で、仮歯用の接着剤?を全体につけ、
専用の型とレジンをあてて、歯を造っていきます。
さて、半年から1年ほど
つけたまま暮らしていく歯ですから
このレジンの色をどうしたらいいか
TS先生もいろいろ悩まれたそうです。
スポーツ選手等で
真っ白い歯にしている方もいますが
個人的にあれほど真っ白なのは
ちょっと抵抗があり…。
(昔「何とかは歯が命」ってCMありましたね)
歯が白いと若く見えると聞きますが
私としては、今の歯より
ほんのりと白い程度に納めたいところなのです。
レジンの下に透ける元々の歯の色や
肌や目、髪の色とのバランスもあるので
非常に難しい相談ですが…
(実際に装着してみないとわからないと
理解しています。服や化粧品と同じ)
結果、TS先生も最後まで悩まれて
レジンには白い材料と透明な材料があるのですが
今回は透明な材料を多めに使った
白すぎない「こぱんだオリジナルブレンド色」の
歯が完成いたしました。こちらが完成した仮歯です。
色味って人それぞれ好みがあると思いますが
私はこの色が大変好きになりまして
何の躊躇もなく人前で笑顔になれるのが
本当に嬉しく、ありがたいところです。
歯科治療で、それってすごいことだと思う。
当たり前じゃない。
所要時間は3時間ほど。事前のリップクリーム塗布がおすすめ
仮歯の施術はトータル3時間ほど。
1回、休憩を挟んでくださいました。
途中一瞬、ふわっと接着剤っぽい匂いがして
口の中が温かくなり
建築模型やプラモデルの作成を
懐かしく思い出しましたね…。
<おすすめ事前準備:リップクリーム>
口をずっと全開にしていますし、
この揮発剤の影響なのか
年齢的なものなのか分かりませんが、
施術が終わる頃には
唇周辺がカピカピに乾きます。
ですので、施術前にあらかじめ
リップクリームをたっぷり塗っておくと
よさそうです。
(唇だけでなく、口の周り全部に塗る勢いで
たっぷりと!)
そしてマスクを準備しておけば
帰り道で唇カピカピのままでも
気にせず隠せて帰れるので便利です!
こうして今回も
先生方の素晴らしい集中力と超絶技巧で
無事に次のステップに進むことができたのでした。
次回記事で、1週間ほど仮歯で生活してみた様子を
まとめます。
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